所沢で地域活動をしている方々の
インタビューをご紹介します。
毎週、同じ曜日・時間になると、いつもの公園にウォーキングを目的とした人たちが集まってきます。取り組んでいるのは筋力・持久力を無理なく向上させるウォーキング法「筋トレウォーク」。発起人はインターバル速歩(R)のインストラクターで「筋トレウォーク」の普及に努めている斉藤良一さん。「筋トレウォーク」とは何か、そして普及に努める斉藤さんの想いについて取材させていただきました。
斉藤 良一(さいとう りょういち)さん
埼玉県生まれ。1971年に株式会社日立製作所へ入社し、システムエンジニアとして流通業や金融業など10数社のシステム構築を担当。2002年、55歳の時に退社し、株式会社日経コンサルタントを設立。代表取締役社長に就任。会社経営の傍ら2015年より、骨密度の増加や生活習慣病リスクの改善効果のあるウォーキング法「インターバル速歩」のインストラクター資格を取得し、所沢を中心に講習会や指導を始める。現在は独自で考案したウォーキング法を多くの人に伝えながら、健康づくりの普及活動に努めている。
――運動に励むようになったきっかけはなんですか?
私は現役時代にシステムエンジニアをしていたのですが、デスクワーク中心でほとんど運動をしない日々を送っていたら、ある日体調を崩してしまって。健康づくりのためにまず始めたのが、会社帰りの水泳でした。しかし、水泳はプールがある場所へ日々足を運ばないとできません。もっと手軽にできることはないだろうかと考えていた時に、中学生の頃にやっていた駅伝のことを思い出しました。「そうだ、走ることなら設備に制限されず、気軽にできるじゃないか」。そう思ってからというもの、休日には所沢航空記念公園で走るようになったのです。
その後、「所沢走友会」というマラソン同好会のメンバーに誘われ、駅伝大会にも出場するようになりました。週末ランナーながら、約42㎞のフルマラソンを超えた距離を走るウルトラマラソンにも80回以上出場しましたし、これまで走ってきた累計距離も地球約1周分(約4万㎞)程になります。
――では、ウォーキングを始めた理由はなんですか?
最初は健康づくりを目的に走っていたのが、いつしか走ることにのめり込み過ぎてしまい、膝を痛めてしまいました。一度膝を痛めてしまってからは状態が良くなると走り、また痛めて休み、そしてまた良くなると走るというのを繰り返していました。しかし、痛みが慢性的になってしまい 、もう走ることを諦めようかと考えていた頃、偶然会った方に「インターバル速歩」というウォーキング法を教えてもらったのです。その方法は、筋肉に負荷をかける「早歩き」と、負荷の少ない「ゆっくり歩き」を3分間ずつ交互に繰り返し、筋力・持久力を無理なく向上させるほか、生活習慣病の改善効果もあるウォーキング法でした。
これなら痛めた膝のリハビリにも良さそうだと興味を持った私は、その方法を深く調べていく過程で、優れた効果の研究結果を知り、次第にその魅力に惹きつけられていきました。そして、1年後の2015年2月、長野県松本市まで講習会を受けに行き、インストラクター資格を取得。すぐに所沢航空記念公園で地域の方々へ向けてインターバル速歩の良さや方法を教え始めたのです。
――ご自身のリハビリとして始めたインターバル速歩を、人々に伝えようと思った理由はなんですか?
インターバル速歩は、筋力がつくことで体力アップしたり、姿勢や体型などの見た目が良くなったり、生活習慣病の予防や改善が見られたりと、期待できる効果が多く、皆におすすめしたくなるようなウォーキング法なのです。そして、何より私は自分が良いと思ったことは皆に知ってもらいたいと思う性格で。
システムエンジニアの仕事をしていた頃、当時は今ほどデジタル社会ではなかったため、仕事の7割くらいが “人に何かを教えること” だったんです。お客様や後輩に自分が作ったシステムの使い方などを教えるうちに、人に何かを伝えることにやりがいを覚えるようになりました。そういった体験や性格もあって、インストラクターとして活動を始めたのは、ごく自然な流れだったように思います。
――指導にあたって最も意識していることは?
身体に良い運動方法を知り得たとしても、実行しなければ意味を成しません。ただ、ひとりでモチベーションを維持しながら実行し続けることは、余程の強い意志がない限り難しいことだと思います。なので、良いと思ったことを伝えるだけでなく、同じ目的を持った仲間が集い、“皆で実行できる場づくり” というものも意識して取り組んでいます。
――インターバル速歩に少し工夫を加えた「筋トレウォーク」を考案した理由はなんですか?
インターバル速歩は前述の通り、期待できる効果の多い非常に素晴らしいウォーキング法なのですが、人によっては「効果的なやり方が実践できない」「継続できない」という2つの大きな課題がありました。
例えば、“効果的なやり方” でいうと「早歩き」の時は正しい姿勢を意識しながら集中して歩いて欲しいのですが、慣れてくるとお喋りをしながら歩く人が出てきてしまったり、他の人とスピードを競い合うようになってしまったり。一方で、それに対して注意をしてしまうと、注意を受けた側は楽しさが失われ、辞めたい心理が働きます。そんな実態や課題をインストラクターを始めて5年目くらいから感じ始めました。そこが独自のウォーキング法「筋トレウォーク」を考え始めたきっかけのように思います。
――「筋トレウォーク」とはどのようなものでしょうか?
「早歩き」と「ゆっくり歩き」を交互に繰り返す「インターバル速歩」のやり方に、①「早歩き」時には “自分で歩数をカウントする” というのと、➁「ゆっくり歩き」時には “お喋りを楽しみながら歩く” といった2つの工夫を取り入れたものです。
自分で歩数をカウントすれば、余計なことを考える余裕もなくなり、“歩く姿勢” の1点に集中しやすくなります。さらに、カウントした歩数を記録していくと、自身の標準的な歩数が把握できるので、歩数に増減が見られた時は歩くペースが乱れていたことに気付くこともできます。
また、正しく取り組めていても楽しくないと継続できないので、クールダウンの意味合いを持つ「ゆっくり歩き」の時間のみ、他の参加者とお喋りしながら歩いてもらうことにしました。ただ、意外と「ゆっくり歩き」ができない人が多いのです。恐らく「早歩き」の感覚が後を引いてしまって、すぐに感覚を戻すのが難しいんだと思います。そういう時にこそ、お喋りする機会を取り入れることによって自然と歩くスピードが緩み、正しくクールダウンがおこなえるようになるんです。
――筋トレウォークの普及活動を通じて、人々に伝えたいことは何ですか?
まずは “歩く楽しさ” ですね。筋トレウォークで足腰を強くして、自分の足でいろいろな場所に行き、見たことのない景色を見るなどしながら歩く時間を楽しんでもらいたいです。また、歩く時間はテレビやインターネットなどの様々な情報から離れることができるので、自身の身の回りで最近あったことや興味を持ったことなど、自身の内面に目を向ける良い時間になり、考えや気持ちを整理するきっかけにもなります。
あとは、トレーニングの継続には “自主性” が大切ということも伝えたいですね。筋トレウォークの参加者の中には、もともとコロナ禍の影響などで家に閉じこもっていた人もいます。その方たちは「何かをやらなければ」という気持ちから一歩を踏み出し、トレーニングに参加してくれました。その一歩を踏み出すまでには「私にできるかな」「行っても良いのかな」などの葛藤や壁があったはずです。それでも参加に至った強い思いは “継続” の源泉だと思います。そして、継続した成果が身体や体力面に現れてくると、今度は自信も湧いてきます。
参加者は運動経験者ばかりではありませんが、毎週トレーニングを続けることで、1年後にはウォーキングにとどまらず水泳教室にも通い始めた方や、ウォーキングをきっかけに登山を始め、2年後には日本で5番目の標高を誇る北アルプスの槍ヶ岳に登頂した方が現れるなど、様々なステップアップの形が生まれています。
――筋トレウォークの普及活動をしていて嬉しかったことはなんですか?
参加者から頂いた数々の感謝の言葉ですかね。「仲間と楽しみながら体力もついて健康になった。良いことばかり」「グループの活動が励みになり、頑張れる」「人との交流もできて性格が明るくなった」「一人ではやらないことも、みんなと一緒だからできる」など。長い人生を楽しく過ごすためには、同じ時間を共にする仲間の存在はとても大切だと思います。なので、私がやっている活動が、少しでも地域貢献につながっているのであれば、それはとても嬉しく思います。
一人でも多くの人が、筋トレウォークを通じて誰かと一緒に何かを始めるきっかけを得て、楽しく健康に過ごしていただけたらと思います。そしていずれは、“筋トレウォークを世界中にも広めたい!” なんてことも思っています。
-インタビューを終えて-
今回の取材では、実際に私たちも筋トレウォークの練習会に参加させていただきました。体を動かすことで気持ちが前向きになり、すっと気持ちが晴れやかになる実感がありました。情報過多で心が疲れてしまう現代社会には、歩くことだけにひたむきに向き合う時間も新鮮です。筋トレウォークの練習会のような気軽に参加できる健康づくりの “場” は、健康に不安を抱える地域住民の一助となっているのではないでしょうか。
私たちも地域の皆さまが空き家や相続問題に対して不安を抱えることがないよう、気軽に相談できる“場”を作ることで、北斗不動産グループが目指す「住み良い安心した暮らしができる街」づくりに努めていきたいと思います。