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ほくとと

所沢で地域活動をしている方々の
インタビューをご紹介します。

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所沢市 国民健康保険課 保健師|清野良江さん

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ほくととインタビュー#20

今の健康状態は日々の積み重ねの結果です。常に自身の健康状態を正しく把握していれば、防げる病気もあります。所沢市役所で保健師として勤務している清野さんは、市民が病気を患うことなく毎日を元気に過ごすため、健康に関する正しい知識の普及啓発をおこなってきました。最近は高血圧と認知症の関連性を軸に、後期高齢者(75歳以上の方)の健康寿命延伸に関わる活動を主体としています。今回は清野さんに、保健師の役割や具体的な活動内容などについて取材させていただきました。

清野 良江(きよの よしえ)さん

北海道夕張市生まれ。高校で准看護師の資格取得後、埼玉県立衛生短期大学へ進学し、所沢市役所へ保健師として就職。所沢市民の健康づくりを推進するため、健康相談会の開催や病気を未然に防ぐための啓発活動など、保健行政に従事。2020年より「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」を主体的に推進し、主に日常的な血圧測定の重要性を説いている。

行政の立場で人々の健康をサポート

――清野さんはなぜ保健師になられたのですか?

私は中学卒業後、衛生看護科がある高校に進学し、准看護師の資格を取りましたが、実は看護師になりたいと強く思っていたわけではありませんでした。生まれ育った北海道夕張市が人口減少による廃校で市内の高校が2校に減ってしまった時で、何か手に職をつけたいと考えた結果、衛生看護科の高校を選ぶことにしたのです。

そして、夏休みに市立病院でアルバイトをしているうちに、看護という仕事は日進月歩で変化する業界であり、老若男女それぞれの健康状態にも正しく向き合い、一人ひとりに寄り添った関係構築が求められる仕事であることに気づきました。生涯続ける仕事として大変やりがいを感じ、さらなる知識と資格を習得するため、卒業後は埼玉県立衛生短期大学に進学したのです。

その後、大学で看護を学びながらアルバイトで美容整形外科や休日急患診療所などの医療現場の実態を体験するうちに、自分が理想とする看護のあり方ってどういう形なんだろうと模索し始めました。紆余曲折を経て辿り着いたのが、「人の健康」との関わり方は看護師以外に保健師としてもあるということ。私が育った夕張市は田舎町で、街には医師が少なかったんですね。そのため住民は体に不調や不安を感じると、保健師に相談していました。そういう環境で過ごした私にとって、保健師というのは身近な存在でした。

あの頃、お世話になった保健師のように、”私も人々の健康をサポートしたい”。医療目線で地域や社会の課題に取り組み、”より多くの人が暮らしやすい街をつくりたい”と考え、保健師を目指すことを決めたのです。

――市役所に所属する保健師の役割とは?

まず前提として、保健師活動の基本指針は「みる・つなぐ・動かす」です。「みる」とは地域で暮らす人々を見る・看る。「つなぐ」は課題解決のために人々と情報と組織を繋ぐ。「動かす」は地域の課題解決力を高めるために地域住民や関係組織と共に活動する。この3つの指針を通して、あらゆる人々の健康を手助けするのが保健師の仕事とされています。

その上で保健師が市役所に所属して何をしているかというと、市民一人ひとりの健康相談をうけて、その人に適した相談先や利用できる制度を案内するなど、市民自らが健康管理や健康上の課題解決ができるようにサポートしているのです。そうした活動や調査を通して明らかになった健康課題に対して、保健師としての知見を活かした解決・改善策の計画立案もおこなっています。

  • 様々なスタッフが健康課題の解決にむけ、取り組んでいる▲様々なスタッフが健康課題の解決にむけ、取り組んでいる
高齢者が長く健康で過ごせるために

――現在、清野さんが推進している事業について教えてください。

「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業(以下、一体的実施事業)」というもので、厚生労働省が令和元年10月にガイドラインを発表しました。それを元に各自治体が独自の形で推進しており、所沢市では令和2年に開始しました。

この事業は簡単に言うと、高齢者が1日でも長く健康で、介護を受けずに生き生きと過ごせるようにするための取り組み。活動は大きく分けて3つあります。まず地域の健康課題を分析し、課題解決につながる支援の内容や対策を検討し、提供していきます。

次に、健康への関心度が高く、イベントなどに参加されている方を対象に、自治会館などの「通いの場」を活用し、健康教育や相談対応をおこなうことで、「今は健康に問題がない方」にもできるだけ長く健康であり続けるための予防支援をするのです。

残りの1つは、「健康状態が気になる方」や「必要な治療をおこなっていない方」に、健康情報を届けたり、適切な行政サービスのご案内をおこないます。

――一体的実施事業の具体的な取り組みを教えてください。

一体的実施事業がスタートした令和2年は、健康診断の受診率を上げるための啓発ポスターやチラシを作るところから始めました。令和3年からは、高齢者に関わる地域課題の解決方法を検討する「地域ケア会議(地域包括支援センター主催)」に参加するようになりました。これは「一体的実施事業とは何か」「そもそも保健師とは何をする人なのか」を、広く知ってもらうことを目的としています。

加えて「通いの場」を活用した、市民への啓発活動も開始。「お達者倶楽部」や「すこやか栄養教室」などでフレイル※予防の講話をおこないつつ血圧測定や問診をして、現時点で健康に不安がない方にも自身の健康に関心を持っていただけるように工夫しています。

また、「健康状態が気になる方」や「必要な治療をおこなっていない方」を対象としたイベントをおこない、参加できなかった後期高齢者(75歳以上)の方には、保健師や栄養士が家庭訪問して健康状態をお伺いする取り組みも始めています。直近で開催した令和4年10月のイベント後は、150人を対象に家庭訪問を実施しました。

※フレイル…加齢や疾患により身体的・精神的な機能が徐々に衰え、心身のストレスへの耐性が脆弱になった状態。特に高齢者は慢性疾患やがんなどさまざまな病気を抱えるケースが多く、心身機能の低下と相まって生活機能が落ちたり、心身の脆弱性が加速されたりする危険性が高いとされる。

  • 定期的な血圧測定を促進するために制作したチラシ▲定期的な血圧測定を促進するために制作したチラシ

――一体的実施事業の推進により市民の意識に変化はありましたか?

直近のイベントで血圧と骨密度の測定を実施し、協賛企業からご提供いただいた減塩醤油のサンプルとアンケートをお配りしました。そのアンケートでは今まではなかった声が集まり、「日頃、減塩食品を使用している」「毎日、血圧を計測している」「運動を始めた」など、参加した市民が具体的に行動していることがわかったのです。このように私たちの活動が少しずつ変化をもたらしているのだなと実感する機会がとても増えてきています。

  • 高血圧予防として減塩の大切さを啓発したイベントの様子▲高血圧予防として減塩の大切さを啓発したイベントの様子
高血圧を予防・治療すれば、認知症は予防できる!?

――最近は高血圧と認知症の関連性を強く訴えているそうですね。

2021年度の所沢市で暮らす後期高齢者の医療費を分析した結果、所沢市は埼玉県内の他市町村と比較して、年齢が高くなるほど高血圧の方が多い傾向にあることがわかりました。さらに掘り下げて調べていくと、高血圧は認知症との関わりがあることも判明。認知症を発症している後期高齢者の83%の方が高血圧などの循環器疾患を併発していました。後期高齢者全体で循環器疾患を患っていらっしゃるのは58%なので、この数字がいかに高いかがわかります。(下グラフ参照)

ということは、高血圧を予防できれば認知症の発症も予防できるのではないか。これは市民のみなさんに”ぜひ伝えなければいけない!”と思いました。高血圧と認知症を予防できたら健康寿命を延ばせます。そうすれば一人ひとりが長く生き生きと暮らせますし、年々増加する医療・介護費も削減できるので良いこと尽くめです。

  • 認知症疾患者の疾患保有割合

――現在の所沢市民の血圧に対する意識は、どのような様子ですか?

自宅に血圧測定器を持っている方が多い一方で、自分が高血圧だと知らない方も一定数いらっしゃいます。前述した私たちが主催するイベントに参加される方々は、何かしら健康に気を遣っていますが、それでも血圧に対する意識は人それぞれです。高血圧だと飲めない薬があったり、その他にも様々な制約やリスクがありますので、こうした情報も周知していく必要があると考えています。

そのためにはイベント内容も工夫していかないといけません。毎回テーマを変えて、市民のみなさんが”有益だ、また参加しよう”と思ってくださるような企画を立てていきたいです。

 

より多くの人に周知するため、部署横断で事業推進したい

――一体的実施事業は、清野さんが所属する国民健康保険課だけで推進しているのですか?

基本的に私たちの課が主体となって進めていますが、部署横断的に取り組んでいます。なぜなら、血圧が上がる理由は食生活や運動不足だけではないからです。日常のストレスや不安など、さまざまな要因が考えられます。しかも前述の通り、高血圧は認知症に繋がる可能性があるのです。ならば関連する他部署と連携していくことが、未来の認知症患者を減らす近道なのではないか、というのが私たちの考えです。

そのため、健康に関わる情報発信をする際も、私が所属する国民健康保険課だけでなく、保健センター健康管理課(こころの健康支援室)や高齢者支援課、市民相談課(消費生活センター)など、高血圧の予防や今後のリスクに関わる相談ができる課の連絡先も案内しています。

役所は縦割り組織ではありますが、どの部署も行動目的は「市民のため」です。同じ目的を掲げているからこそ、もっとスムーズでより効果的な「市民のため」の活動ができるよう連携していきたいと考えています。

私がそのように考えるのは、日本で唯一、経済破綻した市町村である夕張市出身であることが理由かもしれません。夕張は炭鉱の町で「一山一家」という、その炭鉱・山に関わる全ての人が家族であるという考え方が浸透していて、強い連帯感がありました。また閉山後の人口減少による高校の廃校が自分の進路に影響したことで、自分とは関係ないと思っていた事象が実は繋がっていることを学びました。だから私の活動も、隣の部署の活動も、同じ目的意識を持っていたら、分野の違いがあったとしてもどこかで繋がると思うのです。だったら「一緒にやろうよ!」という考えですね。

  • 所沢市健康推進部の瀬能部長(中央)、市川次長(左)、新井課長(右)▲所沢市健康推進部の瀬能部長(中央)、市川次長(左)、新井課長(右)にも撮影にご参加いただきました
血圧測定の日常化を目指したい

――清野さんが今後取り組みたいことを教えてください。

体温測定と同じくらい、血圧測定を日常化したいと思っています。多くの方が自身の平均体温を把握しているように、血圧も同じ状態を作りたいです。最近は庁内外の多職種の方とも健康課題を共有しながら活動の幅を広げていて、市民の健康に対する意識を底上げしていきたいと話しています。

まだまだやれることはたくさん!「迷ったら進め」の精神で、新しいことをやり続けていきます。まずは今注力している血圧問題に関して、ぜひ多くの方が自分事化し、関心を持っていただけるよう頑張ります。そして、日頃の血圧測定と年1回の医師による健康相談を促進していきたいと思います。

-インタビューを終えて-

公共施設や薬局などで血圧測定器をよく見かける昨今。私自身も薬局で薬の処方を待ちながら計測した経験がありますが、血圧はあくまで自身の健康を指し示すバロメーターとしか捉えておらず、認知症との関連性があるとは考えたこともありませんでした。一方で行政がこうした情報を発信してくれることは、あらためて日常生活における安心感に繋がると実感しました。

これからの私たちに問われるのは、情報を受け取ったあとにどう考え、どう行動するか。そうして、あらゆる情報をもとに日々の生活を多角的に見直すことが、健康寿命を延ばす一番の方法ではないでしょうか。

今回の「ほくとと」が、地域の皆様の健康意識向上につながることを願うと同時に、私たちも地域に根ざした企業として何ができるか、考え、行動し続けたいと思います。

健康診査に関するお問い合わせ

・特定健康診査(40歳以上で国民健康保険に加入されている方)
所沢市 国民健康保険課
電話:04-2998-9131

・後期高齢者健康診査(後期高齢者医療制度に加入されている方)
所沢市 国民健康保険課 後期高齢者医療担当
電話:04-2998-9218

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